|
右の図がT型量子細線の作製手順を示したものです。 まず始めにMBE装置を使ってGaAs基板の(001)面に量子井戸を作製します。赤い矢印が分子線を表しています。 また、色が薄いほどポテンシャルが低い(バンドギャップエネルギーが小さい)ことに対応しています。この[001]方向の成長のことを第一成長と呼んでいます。 第一成長が終わった試料は一度MBE装置から取り出され、へき開傷を入れた後に再びMBE装置内へと配置されます。 この際、(110)面が蒸着源の方に向くように配置します。 そしてMBE装置内でへき開を行い、そこに(110)量子井戸を作製します。これはへき開再成長法と呼ばれる手法で、高真空内でへき開することでへき開面の 酸化を防ぐことが出来ます。この工程を第二成長とも呼びます。 |
![]() |
![]() |
そのようにして作製された量子井戸の交点部分を拡大したのが左の図です。
第一成長で作られる(001)量子井戸をTの字の幹という意味で"Stem well"、 へき開再成長で作られる(110)量子井戸をTの字の腕という意味で"Arm well"と呼んでいます。 青線は有限要素法によって計算された電子の存在確率を表しており、Tの字の部分に電子が閉じ込められていることがわかります。 |
|
このT型量子細線においては結晶の(110)面の結晶成長が(001)面と比べて難しく(ダングリングボンドが少ないため)、
(110)量子井戸の界面ラフネスがT型量子細線の品質を長い間制限していました。
そこで、我々のグループでは界面ラフネスを抑えるために成長中断アニーリング法という方法を開発しました。 右の図はこの方法を適用したものとしていないものの(110)量子井戸の界面をAFMによって観察したものです。 適用した場合は原子的にも平坦な界面が作製されていることがわかります。 |
![]() |