研究内容紹介


 私が現在行っている研究は
電流注入T型量子細線を用いた、デバイス特性向上の理論予測の検証及び一次元量子効果の観測
 です。

 しかし、これだけでは「なんだかよくわからないぞ、日本語をしゃべれ」となってしまうこと請け合いです。

 そこで上で述べたことを誤解をおそれずざっくりと言ってしまうと、電子が自由に動き回れる3次元系の物質(世の中の物質の99.99%以上がこれに含まれます)に比べ、 電子が直線上しか動けないような一次元系の物質を用いてレーザーを作るととても性能が良くなる、と言われているので、じゃあそれを実際に試してみようということです。 さらに、一次元系ではちょっと変わった現象が起こりそうだ、とも言われているので、じゃあそれについても調べてみようということです。 電子は非常に小さいので、電子から見て線に見えるためにはナノメートル(1億分の1メートル)の大きさで構造を作る必要があります。 そこで、このような物質をナノスケール物質と呼んでいます。

 ちなみに背景に書いてあるのが研究対象であるT型量子細線の模式図になります。 T型量子細線は、分子線エピタキシー法というものによって作製された直交する二つの量子井戸の交線部分に形成されます。 断面がTの字になっているから「T型」で、それが金太郎飴のように線になっているから「量子細線」と呼んでいます。

 ここでもう一度誤解をおそれずにざっくりとT型量子細線について説明してみます。上で出てきた「量子井戸」というのは要するに「溝」です。 例えば砂場に溝を掘ってバケツか何かで水を流すと、水は溝に沿って流れていきます。つまり、水は「位置」が低い溝の部分を流れていきやすいわけです。 電子の場合は「位置」ではなく「ポテンシャル」の低いところに流れていきやすい性質を持っています。 このポテンシャルが周りに比べて低いところを「量子井戸」と呼んでいるわけです。 ここからは少し理解しにくいですが、二つの「量子井戸」が交わっているT字路部分は周りの「量子井戸」の部分に比べて少しポテンシャルが低くなります。 これは構造が非常に小さいことによって起きる現象です。そのため電子はそのT字路部分へと流れていき、一次元系である量子細線を作るわけです。

 例え話をしたせいで、逆にわかりにくくなってしまったかもしれませんが、 大雑把に言ってしまうと目に見えないくらい小さいものを調べるといろいろと面白いことが起きるということです(大雑把にいいすぎかもしれませんが。。。)。

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