研究

Last modified: Sun Nov 30 06:38:21 2003

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現在の研究

概要

「単一量子細線の発光励起スペクトルによる一次元系電子状態の研究」というテーマで研究を行っています。
半導体は分子線エピタキシによる結晶成長で合成されたりするのですが、その際に積層される面を変えるなどといった工夫をしてやると量子井戸層が垂直に交わった構造を実現することができます。その交線を量子細線と呼び、自身の一次元性から数多の興味深い物性を示します。僕の所属する秋山研究室に於いて、この構造に関する研究が精力的に成されています。
何らかの励起光を照射するとこの量子細線に起因した発光が観測されるのですが、その発光強度を励起光エネルギーの関数として捉えたものが発光励起スペクトルです。ここでエネルギーの-1/2乗に比例する一次元の状態密度が直接見えてしまえばそれはそれで楽しそうですが、実際は電子相関などその他諸々の条件を反映したものとなり、そしてそれは量子細線の物性を考える上で重要な手懸かりとなります。
付随して数値計算も行っております。なかなか大変です。

外部発表

著者	標題	雑誌、学会名と年月
伊藤弘毅、Marzena H. Szymanska、早水裕平、吉田正裕、秋山英文、 Peter B. Littlewood、Loren N. Pfeiffer、Ken W. West	発光励起スペクトルを用いたT型量子細線中励起子励起状態の観測及び数値解析	日本物理学会 2003年秋季大会(岡山大) 20pTH3 (9月20日)
Hirotake Itoh, Yuhei Hayamizu, Masahiro Yoshita, Hidefumi Akiyama, Loren N. Pfeiffer, Ken W. West, Marzena H. Szymanska and Peter B. Littlewood	Polarization-dependent photoluminescence-excitation spectra of one-dimensional exciton and continuum states in T-shaped quantum wires	Applied Physics Letters, vol.83, page.2043 (2003)
Hirotake Itoh, Yuhei Hayamizu, Masahiro Yoshita, Hidefumi Akiyama, K. W. West and L. N. Pffeifer	Photoluminescence excitation spectra in T-shaped quantum wires	QELS 2003 - Quantum Electronics & Laser Science Conference, Baltimore, USA, 3 June 2003
伊藤弘毅、早水裕平、吉田正裕、秋山英文、 Ken W. West、Loren N. Pfeiffer	発光励起スペクトルを用いたT型量子細線中の励起子励起状態の観測	日本物理学会第58回年次大会(東北大) 30pYH1 (3月30日)
伊藤弘毅、早水裕平、吉田正裕、秋山英文、 Loren N. Pfeiffer、Ken W. West	T型量子細線中における発光励起スペクトル	日本物理学会 2002年秋季大会(中部大) 6pSA14 (9月6日)

発表資料

プレゼン用のファイルフォーマットとして高名なPDFを用いています。最初は TeXからPDFを生成していましたが、流石に面倒だったのでやめました。次から Adobe社のIllustratorで単ページ毎にPDFを作成しAcrobatで結合するようにしましたが、これもまた面倒です。複数ページのPDFをWYSIWIGで作成するにはInDesign、PageMakerくらいしかなさそうですが、プレゼン用に使ったらプロの方に怒られそうです。まともなプレゼン用のソフトが出てくれないものでしょうか。

過去の研究

卒業研究は「一次元量子スピン系ハロゲン架橋金属錯体の低温磁性」というテーマで東京大鹿野田研究室にて行いました。（試料は岡本研究室より提供して頂きました。）
この物質においては、塩素や臭素、沃素といったハロゲンと、ニッケルや白金などの遷移金属の結合が鎖状に連なり、その上で擬一次元系が実現しています。そして各金属原子上には電子の局在スピンが存在するため、極めてよい一次元量子スピン系が形成されているのです。
この系を磁性の観点から調べました。手法は主に核磁気共鳴で、1Kを下回るような低温まで調べ、他に磁化率の温度変化も調べました。結局「200mK程度の温度まではスピンに磁気的秩序は見えていない」という結論が得られましたが、もっと突っ込んだ所の研究を行う前に卒業の日を迎えてしまいました。
卒業研究に於いては、自分の扱う試料なり測定装置なりについて理解が深まってきて、次にやるべき事が見え始めた丁度その頃に、論文の締め切り日が迫ってきたため、実験を止め論文執筆に専念せざるを得ないという事態に陥る人が大多数存在すると思います。何とかならないものなのでしょうか。

伊藤弘毅 (Hirotake Itoh)
Email: {myname} {atmark} {ISSP-japan}
mynameは"hiroitoh"、atmarkは"@"、ISSP-japanは"issp.u-tokyo.ac.jp"です。