球面調和関数
Last modified: Wed Feb 20 06:29:11 2005
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球面調和関数とその図示
3次元の調和関数のうち、直交座標x,y,zのl次同次関数の角部分を球面調和関数と言います。
あるlに対し、2l+1ケの線型独立な形があり、mなどでこれを指定します。
これをY(l,m)などと書くと球対称シュレディンガー方程式の解はこれと動径方向の成分
R(r)との積RYで表すことができるため、
この波動関数の角度依存性を知るにはYを調べれば事足ります。
直交座標で、各方向でのYの大きさを原点からの距離で表す方法が一般的です。
つまり長さ|Y|のベクトルの先端がなぞる領域を面で示すわけです。
そのためには、直交座標の極座標による表示において、
距離rを|Y|で置換してやります。
x = |Y| * sin(u) * cos(v)
y = |Y| * sin(u) * sin(v)
x = |Y| * cos(u)
u,vは天頂角、方位角です。
こうして(x,y,z)を2つの変数で媒介変数表示を行えば求めるものが得られます。
この方法はイメージしやすいですが、図示されているのはあくまで角度依存性にすぎないということを認識しなくてはなりません。
(ここでの静止画の絶対的な図形の大きさに意味はありません。
一方で回転するJavaアプレットの軸長は2に、
x,y,zの文字は軸上の座標0.8の所に固定されているので、こちらで大きさがわかります)
l > 1 のとき、線型独立なYが複数存在し、それを整数mなどで分類します。
-l <= m <= lですが、mの符号の変化はYの虚部の符号を変化
させるのみで、|Y|の表示に影響を与えません(区別がつかない)。そこで、ちゃ
んと区別がつく様に線型結合をとってやって表現することが多いのですが、
それをp関数(l=1)、d関数(l=2)と称するようです。軌道という表現もあります。
見た目は違いますが、
ただの基底の取り直しなので本質的な差異が生じるわけではありません。
簡単な説明と具体的な表式
l=0
![l=0](mm/l0.png)
動かす,
(拡大版)
l=1
mで分類
![l=1,m](mm/l1_m.png)
軌道で分類(p軌道)
![l=1,p](mm/l1_p.png)
l=2
mで分類
![l=2,m](mm/l2_m.png)
軌道で分類(d軌道)
![l=2,d](mm/l2_d.png)
具体的な表式
極座標
球面調和関数
書き下したもの
軌道関数との関係
伊藤 弘毅 (Hirotake Itoh)
Email: {myname} {atmark} {ISSP-japan}
mynameは"hiroitoh"、atmarkは"@"、ISSP-japanは"issp.u-tokyo.ac.jp"です。